見上げる本棚
見上げるほどに背の高い本棚の、一番上の本をいつ読もう。小さい頃からずっと見上げてる。
下はひきだし、平積み、中はぎっしり、ちょこっと顔をみせて、数が減って一番上はこっちを見下ろしている。
上にいる本はきまって大きい。分厚くて、ピカピカしてたり、大きな写真を大きくのぞかせたりしている。
彼らは一体何人の手に触れてきただろう?誰の手も届かないようなところで、気高く立っている、あの本はどんな本なんだろう?
いつかは開いてみたい、何年経ってもずっと変わらずにそこにいる本。
誰の目にも届かない本。今日も何人もの人々が気付かずに通り過ぎていった。モノほしさに本棚を見上げるチビっ子だけが気づくけど、手にとれやしない。背伸びしても脚立に乗っても届かない。母さんに叱られて捕まるのがいつものオチ。
夜になると誰もいなくなる、夜の本棚。他の誰よりも重力を感じている一番上の本。モノ言わずに今もそこにたたずんでいる。
大人になってもずっと見上げてる。今もずっと手が届かない本。
知らない本棚
知らない街の図書館をのぞく。自分の街よりも旨そうな本がたくさんあって腹が立った。
一日では読みきれなさそうな厚さの本を読む。とても難しくて、途中でやめた。本を棚に戻して、次の目的地へと向かうために図書館を出た。
道中、読みきれなかった本を思い出す。あの本はどうなっただろう?誰かに借りられたのか、皆諦めてそこに置いてあるのか。あの本は難しいままなのか。俺は読み終えることができるのか。
気になって、また別の街の別の図書館に入った。あれと同じ本を見つけて、続きを開いた。
難しくて、また途中でやめた。本を棚に戻して、次の目的地へ出発した。
道中、読みきれなかった本を思い出す。どうせ読んでも、難しくてまた途中で諦めて閉じるだけなのだ。そう思いながら、家に帰った。
帰宅してから二日後、また本を思い出す。どうしても忘れられないのだ。読みきるまでは、ずっと旅が続いているような気がした。
だから、また旅行に出た。本を読み終えるために。
何度も挫折と再開を経て、本を読み終えた。本を読み終えてわかったことは、自分には難しすぎてその本はわからないということだった。それをわかってよかった。
俺はきっとまた旅に出る。そして知らない街の知らない図書館で、再びあの本を最初から読み始め、そこから旅が始まる。