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1st短編集-回晩行

ミニ短編集-砂漠

2nd短編集-至暗面呼

3rd短編集-旅のような庭

小引越(コビッコ)/kobikko

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 夕方のチャイムで目を覚ました。寝過ぎたみたいで、起き上がると頭がくらくらした。ため息をついて、夕飯を作るためにシンクの溜まった洗い物を片付け始めた。いつもはしんどい皿洗いも、少し耐えられる。明日には旅行に出るのだ。朝に、私はこの家を出る。 旅...

パラ・フレーズ/para-phrase

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 恥じらいがいつもわたしをせきとめるから、今日も何も言えないかもしれない。それでもやってみよう。川の中の浮島を渡っていくように、なりゆきにまかせて何個もの言葉を経由してみよう。そうすれば、いつか本当の場所、本当の言葉に辿り着けるかもしれないね。...

日暮の労働者/day laborer

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 岩よりも大きな女が背中を揺らして泣いている。食べかけの菓子パンを食べ切る前に泣いている。食べるより前に涙がこぼれて、それをどうにかして止めようと空いた左手と塞がった右手の手首で目を拭ったが止まらなかった。こらえようとしても、嗚咽が出た。抑えよ...

全方位観光/omni sight seeing

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 悲しみはいつも港にさせた。カモメの鳴き声の響く港。曇天が似合うところ。そこでは二十人以上の漁師が一日欠かさず毎日働き、空気がせわしない。 全く関係ない私は、そこでただ海を見ていた。コンクリートでできた防波堤の上をカモメが飛んでいる。その後ろは...

出発の小景/Departing in the Morning After Rain

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 車の窓の外の、小雨の中で手を振る叔母は笑顔がとても祖母にそっくりだった。自分はどうだろう?どこか祖母にそっくりなところはあるだろうか?どこか一つでも見つけたくって、考えてみたがさっぱり思いつかなかった。家族とは新大阪駅で別れた。別れた時のこと...

おやすみ同盟/l’alliance de la bonnne nuit

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 食堂へ続く廊下を歩いていると、君の声が聞こえた。誰かと話しているようだった。寝ぼけた頭のまま、君が何を喋っているのか頭に入ってこないままで食堂に入ると、そこには君一人しかいなかった。君は窓際の席に座っていて、テーブルの上にも何も置かず、でも確...

エンドレス・トラベラー回顧展/endless travelor retrospective

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回顧展は二通の手紙の展示から始まる。その手紙はおよそ五十年ほど前、ソルボンヌの古アパートに泊まっていたイワンの元に届いた手紙だ。 最初に開いたのは父親からの手紙だった。内容は至って簡潔だった。お前を見放し、縁を切った、もう二度と家には戻ってくる...

あるといいなは無い/all you need is nothing

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 彼女に会ったのは喫煙所で、顔を見合わせた時にちょっと動揺した。なぜなら彼女はオーガニックレストランでバイトをしていたからだった。僕に気づくと、彼女は働く時と変わらない、ちょっと口を横に広げた笑顔で手を振ってこちらに寄ってきた。 僕はそのレスト...

本棚たち/bibliothèque

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    見上げる本棚 見上げるほどに背の高い本棚の、一番上の本をいつ読もう。小さい頃からずっと見上げてる。 下はひきだし、平積み、中はぎっしり、ちょこっと顔をみせて、数が減って一番上はこっちを見下ろしている。 上にいる本はきまって大きい。分厚く...

庭の番/jardin oublié

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 二十八連勤した後に家に帰ると今度は祖母が亡くなったという知らせがあったもんだから、そこからも忙しなかった。急いで服を引っ張り出すと、ちょっとカビが生えていて舌打ちした。除菌スプレーをかけたら綺麗になった。葬式の最中の記憶もない。次に家に帰って...

dehaze